エスカレーター逆走

まだ小さいころ。エスカレーターという「勝手に動く階段」がおもしろくて、これ、逆に乗ってみたらどうなるんだろう!なんて子供心に思ったりしていた。

さすがに幼稚園児ではむつかしいけれど、小学生になったら親の目を盗んで、下りのエスカレーターを逆走してみたり、上りのエスカレーターを下ってみたり。

「危ないぞっ!」

と怒られながらも、一度やってみたかった人、いるんじゃないですか?(笑)

 

 

これが笑い話で済んでいるうちは、ある意味よかった。けれど今、けっこう多くの方が、「反対向けのエスカレーター」で逆走していたりしませんか?いや、本物の「エスカレーター」というわけではなく、経済市場の中で。

社会は技術革新により、どんどんと効率化され、そもそも「今はもう、それが仕事として成り立たなくなりつつある」という仕事が徐々に出てきている状況。ネットでの買い物を謳歌している人がたくさんいる反面、一部の業種で、小売店の減少が目立ち始めている。
昔は必ず一つの街に1軒はあったはずの、本屋さん、おもちゃ屋さんetc.、すでになくなっている街、良くてもコンビニに鞍替えしてしまった街、ありませんか?

業態でいっても、家電業界の右肩下がり感は半端ない状況。三洋電機は完全に吸収され、シャープは言うまでもなく、ソニーも何とかゲームなどで盛り返しているけれど、グループ企業内においての「家電」の占める割合は小さくて、事実上、ゲームと金融、保険の会社に。重電を抱えている東芝も、家電としては傾きかけている状況。そこそこ成り立っているのは日立あたり?

あくまでわかりやすいところをあげてみただけで、他にも出版業界など突き詰めればいくらでも。こうした業界は、いわば「下りエスカレーター」状態。そんな全体の傾向の中で、「必死でエスカレーターを逆走」することで、疲弊していませんか?
そもそも、一歩間違えてこければ、たぶん一発アウト。そうでないにしても、なかなか全体の流れからは抗えない。こんな中で「ガンバレ」と言われても、いわゆるブラックっぽくなるのは不可避でしょう?
たぶん「上りエスカレーター」に乗り換えるか、少なくとも、止まっている「階段を上る」ことに切り替えなければ、作業に見合った成果など出るはずがない。子供が、エスカレーターを一生懸命逆走して楽しんでいるのとは、訳が違う。

 

…とは言っても、そう簡単に「階段」が見つかるわけでもなく、そもそも、「今まで階段」だと思っていたものが、急に「下りエスカレーター」に変わってしまったところもあるだろう。

 

でもできないわけじゃない。たとえば「富士フイルム」。まだまだカメラ関係もやっているのだけれど、会社のトップがしっかりと動けば、グッと大きく舵を切ることができるという良い事例。

たぶん、「日本」という会社が舵を切る必要がありそうだけれど。