Amazonでは買えないもの

あまりにAmazonの勢いが良すぎる結果として、実店舗を構える様々な業種があちこちで敗北宣言を出している昨今。逆に、Amazon側から、実店舗設置へと進出しているというところが、何とも皮肉が利いていて面白いところでもあるのだが、そう皮肉ってばかりもいられない。

 

Amazonに代表されるようなネット業者の大きな利点のひとつは、品ぞろえにある。実店舗では到底抱えきれないほどの商品点数。見て回れないほどの数であったとしても、その「全ての商品」を「全ての来訪者」が目にしたいわけではない。ネットというツールを武器に、見たいものだけを見たいように見せる。さらにレコメンドの仕組みで、一緒に見たい確率が高いものを積極的に推していく。これにより大きな売り上げを計上しているのが現在だ。

 

とはいえ、やっぱり実物も見たいし…という人もいる。手触り、実際の色味、匂い等々、それがある意味ネット業者の弱点でもある。Amazon(だけでは無い)ではこれらを、購入者、消費者のコメントという形で、良かった、悪かったをコメントさせ、その「街のうわさ」「ユーザーの声」を多数掲載する事で代替する。本当に公平な意見かどうかは別にして、とはいえ、どちらか一方(たとえば良い評価)の意見の数があまりに多ければ、それなりに信頼して購入する価値があるとみなしてもいいかもしれない。というのが今の仕組みだ。

 

となると、ここに一つのポイントが見受けれられる。皆が同じ商品に対して多くのコメントを出せる商品というのは、どこかのメーカーが大量に作り、売りさばこうとしている「新製品」がほとんどだ。新製品であるからこそ、同じ品質が担保され、それに対する大量のコメントが期待できる。

では、大量にないものだったら?

 

当然それには、多くのコメントがつかないし、つけられない。その最たるものが「中古品」。これは一品一品のコンディションが当然違う。だからこそ中古業者を信頼するか、自分の目で、手で確かめるのが一番。さらにもう一つは「一品モノ」だ。ハンドメイドなどのそれは、ほかに同じものがない。だから目にして確かめたい。

すでにこうした商材や対抗軸で商売をしている業態がある。それは(業態と言っていいのかは疑問だが)中古主体のセレクトショップ。新品も扱うものの、どこかの中古品でも、その選択眼をもってして「売れそう!」と見極めれば買い付け、販売につなげる。この店にあるものの多くは「大量生産品」ではないことで、Amazonに対抗できていると考えられないだろうか?

 

ネット時代になって、多品種少量の要望が満たされる世界になった…はずなのだ。だがしかし、Amazonが制しているのは、その意味では昔ながらの大量生産大量消費の世界の延長線上。なら、その線上ではない別の世界線で勝負するのは、一つの戦略ではないだろうか。

 

大量生産品、価格勝負、品ぞろえ勝負は、もうAmazonにお任せしようという考え方。
僕らはそれ以外の、一品モノ、それでしか味わえないもの、唯一の体験を目指して行けばいいのだから。

みんな違ってみんな良い…んでしょ?そうした選択眼、「大量では無い価値」の作り方、意識の持ち方、持ててますか?みんながみんな、大量に、誰よりも安く…という戦略である必要はないではないですか。