それは誰がつくるのか?

あなたにとって「映画」とは何分だろう?

1800円払って見るんなら、短いよりは長い方がいい!という人もいれば、時間ではなく中身だよという人もいらっしゃるかもしれない。

 

映画館、最近は大手のマルチスクリーンが増えてきたが…。丸1日、10:00-22:00の12時間で回すような「箱」だったり、郊外型などで、10:00-24:00の14時間だったりと一概には言えないのを承知の上で、すこし考えてみる。

 

興業的に1本120分を超えるような映画なら、人の入れ替え、掃除などを考えると、1回あたり20分のインターバルを取ったとして140分。1日12時間のスクリーンで5回、14時間のスクリーンだとぎりぎり6回回すことができる。

だが、これがもし100分の映画だと、12時間では6回、14時間では7回も回せることになる。どちらもまるまる1回分増える。

1回の上映で得られるスクリーンあたりの収益は、

 座席数×満席率(って言うのかな?)×単価

であるため、1回上映が増えるか増えないかは映画館サイドからするとかなりの差だ。

 

仮にスクリーン1つに200席、平均7割が埋まるとして、1回上映が増えることで、25万円の収入となりえる。より座席数の大きなスクリーンなら、1日当たり100万近い興業差額になりえる。単価が“上映時間の長さ”に対してではなく“上映回数”に対して決められていることで、こういうことが起こりえる。

 

もちろん、見る方からしても「くだらない140分映画」より、「面白い90分映画」の方が満足感は高いだろう。とすると、単純に長さではなく、短くても充実した映画が期待されているはずだ。(もちろん、クリエイターが「これだけの長さがなければ説明できない」ということが最初の長さになっているはずなんだけど。)

 

 

…と考えると、次のムーブメントとして、ショートムービーはやってこないだろうか?すでにYouTubeニコニコ動画Ustreamなど、動画が個人で配信できる環境はそろいつつある。そうした環境で“も”見られるが、やはり劇場での上映というのは、音響設備や大画面という迫力の点で、パソコンディスプレイに勝るところはまだまだある。すでにハイビジョン画質のYouTubeなども出ている。画質的には作り手しだい。

ショートと言っても、ロングに対するショートとして100分や90分である必要はない。40分でも30分でもいい。まず最初は、とにかく作りだすことに意味があるんじゃないか考える。

 

資金?今ならクラウドファンディングがあるじゃないか。少し具体的なシナリオと、まずは2-3分のダイジェストを作ってネットで公開すれば、そのでき如何で資金は集まる可能性はある。映像クオリティは、さすがに映画同等とはいかないまでも、最近だとブルーレイを上映をしているシネコンもあると聞く。とすれば、いわゆるハイビジョンで作ればそれなりには見られる作品になる可能性はある。作り手の機器は民生用でたぶん問題ない。レンズなどは多少いいのを選んだ方が良いかもしれないが。

 

映画館のような「箱」で上映する方としては短すぎるのも厄介だ。3分5分のモノで入れ替え回数が増える分だけ、掃除などの無駄時間が増えるでは商売にならないし、見ている方も落ち着かないことになる。ということで、そうしたインディーズもの(と呼ぶことにしておこう)を何本かをパッケージにして上映するのはどうだろう。最初から90分のものを作れなくても、20分ものを作ったインディーズメーカーが4組集まれば、興業が打てたりしないだろうか。

5-6年前、「600秒の映像作品」という縛りで、ネット上でコンテストを行っていたことがあった。さほどメジャーにはならなかったようだけれど、こうした取り組みはありではないだろうか?たとえば1000秒コンテンツでコンテストを行い、上位5本をオムニバスで上映する。値段は500円とか800円といった形でやすめに設定する。もちろんクリエイターにも還元してあげよう。

 

 

そうした市場がないから作らないのか、作らないから市場すらできないのか?もはや民生機器で十分に映画が作れる、既存のパソコンでアニメだってCG作品だって十分に作れる時代。発表の場所を与えれば、クリエイターだって、“ならやってみるか…”とならないだろうか?

 

既存のしがらみに縛られた既存の商売をしている人たちでは、すでに回せなくなっている昨今。新しい顧客を引き込むには、新しいことをすべきだし、そのためには新しいクリエイターをどうやって引き込むか。

きっとそのうちYouTube(Google)あたりが映画館を巻き込んで…。