計画とはその時の決断であり

夏休みも終わりに近い。まだあと1週間ほどあるので、宿題のラストスパートに入っている子もいるんだろう。

 

たぶん、夏休みに入った直後に親は子供に言う。何らかの夏休みの計画を立てなさい…と。

でもきっと多くの子供は、“計画とはどう立てるのが自分に向いている”のかすらわからないんじゃないだろうか?なぜなら、大人であっても、どう計画を立てればいいかということを、習ったことがまずないのだから適切な指導もできない。

とは言え何らかの成功を経験したことがあるものは、曲がりなりにも自分で、自分なりの計画を立てる。

 

小学生の宿題なら、漢字ドリルや計算ドリルなどでもいい。1日2ページでも夏休み40日もあれば、80ページもできる。ただしこれだと土日も含めての毎日。だから、小学生にはちょっとつらいだろう。土日は抜きにすると週5日。これが6週あるので、週に10ページ、全体で60ページか。当初の目論見から減っているので、1日3ページにすれば週に15ページ、6週で90ページとこれならまずまずだろう。

 

…といった計画を立てたとしよう。ところが、いや今週は旅行だ、来週はお盆の墓参りで帰省だと少しずつ言い訳が入る。計画通り進んでいない。これは大人でもおんなじだ。仕事でスケジュールを立てても、割り込みの会議や緊急対処事項が入ると当初予定からずれてくる。

「計画」は、立てることに意味があるのではなく、それをどのように管理し、遂行するか、当初目的をやり遂げるかが焦点でなければならない。そのあたりの知見が少ない親は「ちゃんとやりなさい」程度にしか言わなかったりする。

大人なら、こんな時には周期的に見直すタイミングを用意する。「マイルストーン」などと呼んだりする。定期的に見直すポイントを作るわけだ。

 

上記のようなスケジュールなら、週単位で、たとえば毎週土曜日に見直すポイントとしてみる。1週間に予定では3 x 5の15ページできているはずが、今週は旅行が入って2ページ遅れている、なんてのは、土曜日にフォローして追いつこう。これが「対処その1」だ。

 

2ページ程度の遅れならそれで十分にフォローできるけれど、今週一週間、ずっとキャンプに行っていて何もできなかった、まるまる15ページ分遅れているとなると、こいつは厄介だ。と、ここで放っておいてはいけない。一気に土曜日で15ページ追いつける自信があればいいが、それが無理なら、リスケジュールすればいい。これが「対処その2」だ。

夏休みの初旬にそれが分かっているような“キャンプ”のようなものならば、もともとそれを考慮したスケジュールにすべきだというのもあるが、そうでない急な家族の用事でそうした事態になったのなら、堂々とリスケジュールすればいい。

たとえばのこり4週間で、今週のまるまる1週間分をフォローする作戦を練る。

もともと

 5週間、3pages x 5days x 5weeks = 75pages

だったところを

 4週間、Xpages x 5days x 4weeks = (X x 20)pages

にしなければならない。大まかに見積もって毎日1ページ分増やして4ページにすれば、遅れは取り戻せることになる。

 

 

「計画」とはあくまで予定であり、すべてが確実に実行できる保証はない。やろうという気概があるべきであり、当初は「これでやる!」というその時点での決断には違いないのだけれど、不可抗力を含めた様々な要因で、確実に実現できないこともある。

 

となれば状況は当初の予定とは変わり、さまざまな要因により変化したわけなのだから、「計画」も変えればいいだけの話だ。

だがこの変更も、ただ“だらだら”と変え続けるということになっていては、いつまでたってもできなくなる。なので変えるタイミングを決める。チェックするタイミングを決める。たとえばこれがマイルストーンであったりする。で、そこでもう一度、当初の計画から少し変更した物を検討する。

 

これは、「当初計画」があるからこそ意味のある「変更計画」が作れるわけで、当初計画すらなければ変更の意味も分からなくなる。…という意味で、当初計画とはその時の決断であり、そして、変更のための準備でもある。

 

もう一つ、着実に進んでいるということをきちんと見える化するというのも手だ。当初予定の(たとえば)折れ線グラフと、実際のグラフが常に壁など見えるところに貼られていれば、一目瞭然。遅れも目に見えれば、すぐにやばいとわかるわけで、心理的なフィードバックもかかる。

 

 

 

…といったことを、子供の時から少しずつ分かるようにトレーニングしてくれていれば、夏休み終盤になってから、見たいテレビも見られずに、行きたいプールにも行けずに、ひたすら宿題に追われる、なんてことにもならず、こんな社会人にもなっていなかったはずなんだよね。

 

今年は晩夏もまだ暑いらしい。