出るのも入るのも

いろんな企業が正社員を切り、非正規、アルバイト、派遣などで対処しようとしている。企業を一つの「生き物」と考えると、まことに全うな考え方であり、戦略。固定費化する人件費をいかに流動化するか、と考えると当然の流れ。

しかし、当の切られる方として考えると、自分事。切られるか残れるのかはそのまま生活、ひいては人生を狂わせかねない。

 

そして、単純に会社を辞めるとしても、自分の実力、才能のほかに、さらにそこに「タイミング」要素が非常に強く作用する。

 

昨今、A企業が人員整理に入ったとか、○名の自主退職を勧告した等の記事が新聞紙面を躍らせるのは稀ではなくなった。小さな企業ではなく、誰もが知っているあの企業。

もちろん、定年直前で支度金もたっぷりなので、ちょっと早いが辞めようかと言う人もいるかもしれないが、多くの人が、まだ働ける、もう少し働かないとローンが、教育費がと言う人がほとんど。

当然そうした人々は次の仕事を探す。優れた人はいつもどの企業も求めている、支えきれなくなった優れた人を探す市場は、以前よりも活発に機能している。

 

たいてい、そうして自主退職を勧告するような企業を早めに出る人は、実力のある人だ。会社がうまく行っていないから人減らしをするわけで、その会社の中で面白い仕事は当然減っている。だから、他に行って面白いことやってみようか、などと、腕に自信がある人から出ることがけっこうな確率で。

なので、人を探している人も知っている。最初に出てくる人を狙おうと。なので、ある企業の人減らしが始まった「最初に出てくる人」は、けっこう狙われている。なので再就職もそれなりに決まる確率が高いのだ。

 

だが企業によっては、第n次人員削減と言う形で、ずっと、だらだらと人減らしが進行しているところもある。事業もうまく回らず、もっと減ってもらわないと困るという状況。なので、しがみつこうと思っていた人も強制的に出さざるを得なくなる。そういう人は、最初に飛び出した人とは一味違う。

 

「どうして“今頃”やめたんですか?」

この質問者が納得できる形の答えを提供できない場合、再就職は結構難しいこともある。

 

会社を辞めるのもタイミング。
会社を辞めるにしても、いつでもいい…というわけではない。
結局は自分を磨き続けないと。
錆びたら終わってしまう。