道具と環境

DIYを好きな方もいるだろう。自分でなんでも作ってしまう。

昨今は、素材もやすくなった。モノによっては100円ショップでも十分なモノが手に入る。もちろん、凝っている人であればあるほど、そのための工具もひとしきり揃えていたり。場合によっては、ガレージや部屋の片隅などにミニ工房を構える方もいることだろう。

 
物理的工作以外も同じだ。
パソコンは道具。と同時に、パソコンは環境でもある。
 
環境と道具の違いはなにか?
道具は、持ち替えて使うことができ、加工すべき対象の素材は別にある。
環境とは、そういった素材の所在をも含む場である事がおおいのではないか。
 
その意味では今までのパソコンは、そういう意味では環境色が強かった。
それは、素材のデータも、そして素材を加工する道具としてのソフトウェアツールも、同じ筐体の同じストレージに存在せざるを得なかった。
だから機種が古くなったりすると、道具とともにデータも、環境ごと入れ替えねばならなくなる。HDDの引っ越しでこれまで難儀をした人がどのくらいいる事か。
 
昨今の「クラウド」と言う考え方は、そのデータを、パソコンの外側に出そうという事。道具としてのパソコンが古くなって買い替えたとしても、データはクラウドの側に置かれていたりする。そうして、道具の置き場所とデータの置場所を明確に分ける。
もちろん逆もある。クラウド側にツールを置いて、データは手元に。プライバシー情報的にはこちらの方が安心できたりもする。
前者は、自分の責任でデータロストをすることはまずなく、信頼できる業者に任せることにより、万一の災害などでもデータが失われることがない。写真などのデータは、一度失えば二度と再生できないので大切な事。
後者は、ツールが向こう側にあることにより、常に最新のツールを使うことができる。だがデータが手元にあることで、自分でのデータ管理に注意を払わねばならない。
 
なら、どちらもクラウドの向こうに置けばいいのでは?もちろん、それも可能だし、それを推奨しているサービスもある。某グラフィックツール会社やオフィス系ソフトなどがそうなりつつある。
 
そうして、すべてが環境になり、手元のパソコンが道具でなくなる。パソコンは「道具にアクセスする道具」「入口」になり果てる。
 
そしてそれは、すでに「スマホ」と呼ばれていたりもする。