スパイラルの血栓

物事が回り始めると、AだからB、BになるとC、CだからD、DとくればA…と、次々と連鎖的にぐるぐる回り始めることがある。これが、ポジティブに回り始めれば、いわゆる景気拡大につながるのだろうし、ネガティブに回り始めれば、デフレ状況に陥ることがあるのだろう。

 

実際の物事はABCDのように単純ではないにしても、特に経済学については専門家がいろいろと研究し、だから金利をあげようだとか、だからお金を刷ろうといった活動として具現化する。

実感している人がどのくらいいるのか、私の個人的感覚では?マークがいくつも点灯しているのだが、どうやら景気は拡大している傾向にあるらしい。だが目標成長率に対していまだ達しておらず、であるがゆえに政府は金利をマイナスにまで下げ、お札大量にばらまいている現実がある。

 

これら結果として何が起きているのか?私は経済学者ではないけれど、よく聞くのが「企業の内部留保が膨れ上がっている」ということ。すべてではないだろうけれど、大量にばらまかれたお札が、企業/法人の内部にせっせと蓄積されている状況というのが今の一側面。であるがゆえに政府としては「給与をあげよ」と言いたくもなるわけだ。

 

事実、アルバイトベース、いわゆる非正規社員向けの給与単価は明らかに上がっている。昨今は身近なコンビニなどにおいても人が足りないと言われていて、確実に人を取ろうとすれば、時給をあげるくらいしか手がないわけだ。

…と同じことをせよと一般企業に言うわけだが、事実上上がっていない。なぜか?

 

やっと今日語りたいところにたどり着いたが、もしも人は(想像の上での)合理的判断をするならば、給与の安い仕事はさっさと見切りをつけ、より高い仕事に移っていくはずだ。…だが、そんな流動的状況にも陥っていない。

 

昔は本当に「終身雇用」が働いており、いったん就職すればそこで退職までを全うするという人が多かっただろう。だが昨今はさすがにそのような状況ではない。昔に比べれば人材流動性は上がっており、と同時に終身雇用など(たぶん公務員以外の大半は)信じちゃいないだろう。なのになぜ動かないのか?

そこには、スキルマッチングが一つ。そして「企業自身がどこも給与をあげられない」というか、他があげてこないから自社だけあげることで競争力を下げるわけにはいかないという事情で、周りに「おいしそう」なところが見つからないという事だろう。

 

結局、企業が身を切って給与をあげるか、社員が給与に不満をもって(再就職のリスクを取りながら)今の企業とおさらばするか?という、ニワトリが先か卵が先かの我慢比べをしている状況に違いない。

と、これに付け込んで企業は給与をあげない、誰も逃げださない…というスパイラルとして回っている事実。

 

これを、システムを変更することで人々の動きや方向性をつけていくのが、政治家や官僚の仕事のはずだが、思ったように動いていない現状。

ど素人の私が言うなら、たとえば、これから2年間は特例措置として、(今は会社都合の雇用保険による給付が、すぐにその月から出るものを)個人都合でもその月から出すとか、給付を3割増しにするなどすると、皆が雪崩を打って「不満のある今の職場を脱出」し始めるのではないだろうか?とすると当然、企業は引き留めに走らざるを得ず、例えばその一つの施策として、給与をあげるしかなくなるのではないか?と想像する。

 

さーて。経済は無限に成長するのだろうか?

給料っていつ上がるのかなぁ。

 

 

これがまだ一部で起き始めているだけで、もっとこの割合が増えていけば、たぶん景気は回り始める。

それは、給与や仕事の中身で人をひきつけなければならなくなるからだ。

そうでなければ、たとえ安く働かせていても、働いているものは逃げない。