活躍

学生の就職したい企業トップ10だとか、転職したい企業トップ10などという企画があって、そうしたところにいつも当然のように並ぶ企業…で働いていたとしても、幸せかどうかはわからない。その中において、いやその中であるからこそ、自分のやりたいことができず、自分の目指していることに近づけず、日々悩み、場合によっては退職する人が少なくない。

私の知人で、人もうらやむような素晴らしい才能と容姿を持ちながら、そうした超一流企業の中で、当初は新人にもかかわらず晴れ晴れしい仕事をこなして光り輝いていた人がいた。しかし、時間が経つにつれ、それこそ周りの経済状況等々に左右され、どんどんと輝きを失い、いわゆる大企業病にむしばまれているのではないかという状況に。

 

すでに年功序列などというのは有名無実化していたとしても、実力が認められ、そのような人気企業の中で抜擢人事に当たることはなかなかあり得ない。その人は(当人の心情としてはわからないけれど、少なくとも周りから見て)くすぶり続け、やがて、自分の意志と会社の方向性の違いを理由に、その社を去っていった。

だが当然のことながら、それほどの才能がある故、またまた超人気企業に再就職。給与もジャンプアップした。…らしいのだが、実はそれはジャンプ台の第一歩。実は起業の準備をしていたようだ。

 

その後、その二つ目の企業もめでたく退社し、念願の起業とあいまった。

これでやりたいことができる!自分が目指す仕事をして人生を過ごしていける。
やりたいと思ったことを生業にできる状況にやっとたどり着いたわけだ。

…が、やはりそうそう甘くはない。いままで、大きな企業であったからこそ、自分でしなくてもいい事、集中的に管理されていた社内の雑務も、起業したてのちいさな会社では、ほぼすべて自分に降りかかってくる。さらに、それらをこなしながら、企業を存続させ続けるためには、営業作業をはじめとして、様々な業務をこなさなければならない。
そんな状況であるから、企業直後から2年くらいは、もうつぶれる!死にそうだ!とぼやき続けていたけれど、早々に努力の甲斐が実りの時期を迎え、小さくとも様々な企業、組織で認められ始めてきた。

 さすがにもう、つぶれる!死ぬ!といったつぶやきは影を潜めている。が、今度はたぶん、拡大の苦しみ、組織としての成長の苦しみが待ち構えているんじゃないだろうか。

 

当初から、ターゲットはドメスティックではなく、世界津々浦々に広げる予定のようだったし、アメリカのベンチャー向けエンジェルたちと一戦交えることも時々やっているそうだ。

 

「非常に才能ある者」でさえ、これだけ悩み、苦しんでいるという事。私をはじめとして、少々今日の仕事がうまくいかなかったり、上司に怒られたり…というのは、それに比べればなんてことはない。もっと言えば、今働いている「この企業」で認められない、成果が出ないなら、もしかすると相性が合わないという事。他に、もっと相性が合う、自分がうんと活躍できる場があるのかもしれない。

そのためにも、自分を知り、そして相手(会社/仕事)を知る。

百戦危うからず…。