経済は順調だ、たぶん

経済は順調だ。メディアや国はそういい始めている。けれど労働者としてそれを「実感している人」ってどのくらいいるのだろうか?給料が上がった、ボーナスが増えた。日本の労働者の多くが感じる経済的実感で、景気の良さを感じるのはおそらくこれらの事象がほとんどではないだろうか?

逆に、景気への悪化を感じることは多々ある。光熱費の値上がりなどがまさにそれらだろう。給与はほとんど変わらないのに、インフラの維持にかかる費用だけがじわりじわりと上がっている。すぐに痛みを感じるほどではないけれど、じわじわと締め付け感があり、決して緩みはしない。

スーパーでのモノの値段もよく引き合いに出されるけれど、天候に左右される野菜などは大揺れに揺れるため、実感が乏しい。長いスパンでの変動幅を感じるよりも、短い気候変動の影響ばかりを感じる。

だが、スーパーの中の食品においても、工業的に作り出された製品の値段の多くは、物価変動を受けにくい。いわゆる景気の変動をダイレクトに受ける商品だ。小麦の値段など、アメリカとの交渉により影響を受けたり、サラダ油のねだんなどなど、何年かに一度は感じる人も多いだろう。

 

そして明らかにもう隠しきれなくなっているのは、「内容量を減らして金額を保ってきた商品」も、そろそろ限界にきているのではないかという事。

以前は、たとえば6個入っていて1パッケージだったものが、いつのころからか同じ値段で5個に減らされている。たぶん早晩4個に減るのは間違いない。名目上は「パッケージ刷新」だろうけれど、実質的には値上がりだ。

数がすぐには見えない商品もある。たとえばビスケット。以前なら18枚入りでワンパッケージだったものが、16枚になり、14枚になり12枚になり。「個包装」などといいながら2枚包みx6パックになっているのはなかなか箱の外からは感じ取りにくい。でも実質的には値上げに過ぎない。

一時期ありがちだったのは内容量。当初80gが72g、70g、65g…と減少しつつも「値段据え置き」…って、いやいや実質値上げに違いありませんから。

 

何も一律値上げを悪者扱いしたいわけではない。順当な経済成長、物価成長はあってしかるべきものだと思っている。それに、近隣諸国を見てみればわかる通り、あきらかに経済成長を遂げている国々があるのも事実。

 

それにくらべて「日本の労働者の賃金」はなぜ上がらないのか?もちろん昨今流行りの労働生産性の低さに起因するところもなにがしかはあるのだろうけれど、「それだけ」に原因を押し付け、「だから労働者は頑張りなさい」はお門違いではないか?

 

ビジネスをつかさどるマネジャー、方向性を定めるディレクター、会社経営者、組織経営者のあまりの才能の無さが、結果的に貧しい労働者を生み出している側面をひしひしと感じる。

そんな無駄な作業をなぜ続けさせるのか?意味のない労働をどうしてやめさせないのか?代替手段のあるところをなぜ無駄な労働力で何とかさせようとするのか?
これまでの成功…しか見ていないマネジャー、未来を切り開くつもりのない資本家、今の自分たちの世代のことしか考えていない政治家等々は、早く消えてほしい。

さらにもっと大きな流れで言えば、マシンやAIによる仕事の代替が進む勢いにより、「今までの仕事を失う人々の増加スピード」と、「新たな仕事が生み出されて、それらに従事できる人の増加スピード」に、明らかに差が生じ、あぶれる人々、あぶれはしないけれど付加価値の低いところに移らざるを得ない人々が世界的に増えつつあるという事。ある意味、当初の資本主義の終焉に近づいているのではないだろうか?経済は順調だ。だけど配分が偏って来ているのではないか。

 

物価は順調に上がっている。でもお金持ちだけがさらに金持ちになる世界はもうたくさんなんだけど。