がっちりゆらゆら
音の響きから言えば、ゆらゆらというのは不安定そのもの。不安定と言えばリスクそのものというイメージとつながるかもしれない。
でも昨今の建築は、見た目こそ「ガッチリ」かもしれないけれど、実際にはゆらゆらで、地震の揺れを吸収するという工法で立っている物も多い。
すでに立っている巨大な建物においては、建物の屋上にわざと、揺れる巨大な質量を置いて、地表の揺れと位相をずらして(制御して)、建物揺れの影響を軽減する装置もある。
一見不安定であったとしても、実はゆらゆら揺れる方が安定。これはあるひとつのものを思い浮かべれが一目瞭然だろう。やじろべえ。
何事であろうと、ガッチリ固めようとする人はいる。すべてに対してガッチガチに対応策を取ることで、すべての対応ができたと豪語する人もいる。が、そうであるがゆえに、とても動きづらく、本来の行動、活動が阻害されているという例も少なくない。
逆に、十分ではないけれど、チョコチョコ対応をし続ける人がいる。なんかいつもいつも対応し続けていて、いい加減しっかりした対応ができないのかとはた目には映ることもある。けれど、本来の活動を阻害しないことを第一に、最小限にリスク対応し続けるそんな人。なぜなら、周りの環境は変わり続けているため、ずっとそれらに追随し、変化に対応し続けなければならないから。だが、過剰に対応しすぎることにより、そもそも仕事にならない、変化できない状態になることは、実は別な意味でやばい状況であることでもある。
ガッチリ固めたい思いはあるけれど、実はゆらゆらし続けていなければならない現状。「安定」という状況の捉え方は、ずいぶん以前から変わりつつある。