早1年

ここまでの文章の端々にはあったかもしれない。あまり表立っては表明していなかったが、すでに今の職場で働き始めて1年がたった。

なぜこんなことを書く気になったかと言うと、先日、思いもかけずにそのような話をする機会に恵まれたからだ。

 

ある仕事が終わって、その仕事で出席していたとある会社の方から、ふと声がかかった。

「あのぉ、もしよければ、どうして今の仕事をすることになったのかお聞きできませんか?」

ストレートなその物言い。すでに周りの他のメンバーは全員帰ってしまっており、そこには私とその人しかいない。

「おっ、なかなかストレートですね。面白い、ご興味があるのならお話ししましょうか…」

なんて、こちらも少しプライベートな内容も絡めて話を展開してみた。

その方は今はSEとして、クライアント先に常駐するなど、いろいろと仕事をしているらしい。が、どうもやっぱり先が見えないという。どう考えても、これからの「エンジニア」としての身の振り方、キャリアプランの築き方が描けないというのだ。
確かにそうかもしれない。欧米に比べると、明らかに安めに設定されているエンジニアリングスキル。さらにそうした作業も、単なる「作業」に関しては、すでに東南アジアやインドの工数との価格競争にさらされている。
何をもって、そことの違い、付加価値を売りにするのか?提案力?技術力?はっきり答えすら出ないし、答えが出たところでそれに磨きをかける時間もないほど現業に追われる毎日。だがすでに家族も抱えている身ともなると、おいそれと危ない橋を渡りに行くほどリスクも取れない。

「でも、何もしなくても、それはそれでリスクですよ、きっと。」

 

そんなことを話しながら、結局結論めいたものは何もない。
ただ、やはりぼんやりと流されているだけ、目標がない状況で日々に追われているのでは、自分に有利な方向に行く可能性はとても少ないだろう。だから、可能性を広げる道、方向性だけでも、アンテナだけでも広げておくのは無駄じゃないんじゃないか?そんな話をして彼とは別れた。

もう9月。あっという間に寒くなるんだろう。