モノを使うスタイル

どうせ後出しジャンケンなのだから、こんな考え方はいかがだろうか。


1980年代に、ソニーウォークマンを発売し、世界的に大きなヒットになったのは、ビジネススクールでも題材にするほどの成功例。
ちょうど時を同じくして、日本のいくつかの高級オーディオメーカーは縮小したり、畳んだりしたのをご存じの貴兄もいらっしゃるんだろう。いくつかは「ミニコンポ」という形で生き残り、その後のCDプレーヤーを組み込んで、しばらくは息をつないでいたけれど、結果として、ミニコンポという市場も急速に萎んだ。

 

別に、音楽がなくなったわけじゃない。聞くスタイルが変わっただけだ。それまでは大きなスピーカー、高級アンプで聞いていた層がメインだったオーディオライフスタイルが、安価に、持ち運んだりすることをメインとして立ち上がり、これまでの据え置きステレオセットをうまく小型軽量可搬性のある機器に切り替えられたところが生き残った。


これ、今のテレビも同じじゃないだろうか?
これまでは、テレビと言えば自宅据え置きがメイン。ずっと以前は一家に一台だったのが、一部屋に一台に。それまではサイズは19インチくらいだったのが、今では30インチは当たり前…と、大きくなってきたことで、据え置きは揺らがないと思っていたところはないだろうか?

 

それが、Youtubeニコニコ動画が出てきたこと、そしてモバイル端末の性能が上がったこと、通信能力が飛躍的に向上したこと、メモリーが驚異的に安くなったこと等々がうまく合致し、家では見る必要がなくなった。
映像コンテンツがなくなったわけじゃない。見るスタイルが変わっただけ。
これにより、スマートホンメーカーは競争は厳しいものの、何とか生き延びているけれど、旧来の大型据え置きテレビ事業を、会社の根幹に据えていたような企業が大きな痛手を負うという構図。

 

ま、今だからわかるというのは当然なのだが、経営陣ならもっと以前からわかっていて当然では?