リテラシー

すでに、日本のテレビ放送は、デジタル放送になっている。

あのリモコンのボタンの多さに辟易していらっしゃるかたも多いと思うけれど、あれはメーカーの責任というよりも、そういう標準仕様を決めた組織がまずあって、メーカーはそこで作られた仕様に従っているだけだ。ユーザーの利便性、理解とはかけ離れたところで「リモコン」の仕様が決められ、それに応じた標準リモコンを添付して販売されている現在のテレビ。

 

今年は自然災害がいろいろ多い印象もある。台風に地震、火山の噴火などなど被害をこうむった方もいらっしゃるだろう。首都圏や近畿圏では、電車が間引かれたり止まったり。
こうした際の緊急情報がテレビ画面に出る場合、対角線上に画面が均等縮小し、そのスキマ、エル字状に空いた場所に情報を出すことがある。
だが本来そうした情報は、「dボタン」を押せば、いつでも必要な時に、必要な人にだけそうした情報を提供できる仕組みが出来上がっている。にもかかわらず放送局側は、自社の放送映像を縮めてでも緊急情報を同時に流す。「dボタン」がいかに使われていないかを知っているからだ。

 

皆さんの中で、「dボタン」を押して、自分から明示的に情報を取りに行った方は、さてどのくらいいらっしゃるだろう?20代以下は、そうしたガジェット/機器の扱いには慣れているだろうから、「そんなことは当たり前」と思っているかもしれないが、たぶん40代以上においては、「dボタン」など触ったこともない…という人、多いんじゃないだろうか?

不満を言われないように、放送局側は、自社放送を縮めてまでも情報を提供する。「dボタン」を使えない人、知らない人は、それが当たり前だし、もしかするとそもそも20代以下は、テレビにそんな情報を頼っておらず、LINEやfacebookTwitterでそうした情報を引き出している。

 

それでもリモコンは、ずっとあの無骨な形のまま、ボタンの数が多いまま、これからも作り続けられる。ユーザーのほとんどが、「なんだこのボタンの数の多さは?」といぶかしがりながら。