貸し借り

貸し借りができるのは、それが「形を持っている」ということが介在していることが少なくない。本やCDを貸し借りしたことがある人は少なくともいらっしゃるのではないだろうか?貸したままになって帰ってこないこと、借りたまま返していない物がある人もいるだろう。

 

しかし昨今、漫画や本にせよ、音楽にせよ、どんどんとパッケージメディアからデータ化されることで、形を持つのではなく、デジタルガジェットの中に「情報」だけが流れ込んでくる形になった。CDの売り上げが減ってきている事からして、パッケージ化されたメディアは、どんどんとデジタル化への流れが進みつつある。

 

これによって、「モノの貸し借り」という行為自体が徐々に減っているらしい。CDを貸し借りしない。本や漫画の貸し借りをしない。
いや、もしかしたらそれらがダウンロードされた機器の貸し借りは行われているのかもしれないけれど、現状を考えると、なかなかそのような機器をホイホイと貸せる時代にまではまだなり切っていないのではないだろうか?

 

となると、昔ならそうして借りていたことで広まった情報は…というと、それはたぶんSNSなどの別の媒体が担っていたりする。であるがゆえに、そうした別の媒体を使い分けることができる/そうしなければ、そのような情報が広まっていかないことになる。

 

貸し借りと情報流通。それが分断された今、情報だけが独り歩きしたりすることで何が起きるのか、何が起きなくなるのか。すでに現実はそれに乗って動き出している。