エントロピー増大の法則

ソニーが再びロボット事業に参入するらしい。喜んでいる人もいるだろう。
四足歩行、二足歩行で、当時は多分その分野では最先端近くを走っていたであろう事業化を、ぷっつりと断ち切って早10年ほど?

 

でも、じゃあ、と当時の技術がすぐに元に戻ると考えるのは早計すぎ。それはまず無理だろう。

当時のエンジニアは、場合によっては既に会社を辞めている。居たとしても、当然別の仕事がアサインされているはず。せめてキーパーソンだけでも、と言ったところで、キーパーソンであればあるほど、その仕事を離れてから今まで、別な仕事のキーパーソンになっていて元には戻れない可能性が高そうだ。10年だからということもあるけれど、たとえ3年で復活させたとしても、基本的構造に変わりはないだろう。

 

そう、とてもうまくいったとして、当時の資料やデータが使えたとしても、まず、全く違うものとして、一から始めざるを得ないのではないだろうか。

もちろん当時よりテクノロジーはすすみ、より良いものもできるかもしれない。が、いったん解散したことにより、当時、他社より先んじていたアドバンテージは失い、むしろビハインドを抱えて走り出す事になる。特に、ソフトウェアやCPU性能、メモリー搭載量は進化しても、メカ物としての作り込み、基盤とソフトの擦り合わせなど、形として仕上げる力は、再び構築する必要が。

 

一度手放すことで、解散させることで、失った繋がり、技術を、元のレベルに戻すのは大変なはず。いったん拡散したものを、再び以前と同じ形で秩序付けて集めることは、事実上不可能に近いこと。エントロピーは増大する方向に、混沌化する方向にのみ都合よく動き出す。
これを、秩序付け、技術をまとめ上げ、新しい事業にするということは、周りが思う以上に大変なことなんだろうな…と想像する。

いや、そもそも我々が考えの及ぶ範囲を超えた、ロボットが出てくると、それはそれですごいんだけど。