コンフォートゾーン

新卒で採用された直後に限らず、新しい職場に配置転換されたり、転職した直後においては、まずそこの仕事をしっかり覚えて、滞りなくできるようにならなくてはという意識が働く。そこの手順もわかっていないし、その場所、その会社でのやり方もあるだろう。そういうことをひとつひとつ覚えることから始めざるを得ない状況。

 

そのうち、ルールも覚え、進め方も覚えてくると徐々に仕事を回せるようになってくる。いわゆる仕事をしていて楽しい状態、自分が仕事をコントロールできる状態になってくる。たいていの人は、「この状態」を目指して、職場に慣れよう、仕事に慣れようと日々努力を払っていることだろう。職種や業種にもよるため一概には言えないが、数か月でこの状況に至る人もいれば、数年かかってここに至る人もいるだろう。

 

この状況、環境、「コンフォートゾーン」と呼ばれることがある。

いわゆる「仕事をしていて快適な環境」仕事「に」振り回されるのではなく、仕事「を」回せている状態。であるため、人々はこの状況を「目指す」のであり、この状況が続いてくれると仕事がやりやすいのは言うまでもない。

 

…であるのだが、ここに長期間居続けるのは、それはそれで弊害にもなりうる。要するに外部から見ると効率よくできるのはわかるが、進化しなくなるのだ。こうなってしまうと、外部からそこに価値を見出すとすれば、一つはスピード、またそれとあいまったコスト削減に行きつく。

だがすべての物事が、無限にスピードアップできるわけがなく、スピードはどこかで頭打ちになる。となった時、その単価が下がり、価値を下げ始める。そこから慌てているようでは、大抵遅きに失する。

 

これでお分かりの通り、当初は効率よくできるようになるために「コンフォートゾーン」を目指してスキルの向上をしていくわけだけれど、そこに行きついたそのあとに、そこで「長居」をし続けると、実はそこが地獄の入り口になりかねない。そこをしばらく後には「脱出」して、次の高みを目指さなければならない。

 

先人たちの言葉は様々だが、こんな言葉がある。

 迷ったら、大変な法を選ぶ

まさにこれは、次の試練、自分に次のコンフォートゾーンを目指すように仕向けるということではないか。今のこのゾーンで待ち続け、地獄の扉を開けてしまう前に、自分から次の高みのゾーンへと飛び移れということ。

物事は直線的に進化するのではなく、ジグザグに、のこぎりの歯のように上下しながら、でも全体の傾向として上っていく。そんな成長を目指す必要がある。

いま、どのゾーンに居ますか?今の仕事は、居心地、良すぎたりしませんか?