分ける、明確にする

最近の仕事現場で言われていることはいくつかあるけれど、たとえば「効率化しましょう。早く帰りましょう」ということと、「新しい事業の種を見つけましょう」というイノベーションへの期待が多くて。

 

しかしこの「作業効率化」といいうのは、究極は、「それ」を生み出すため以外の一切の作業を排除することに等しく、要するにコストダウン、時間短縮につながる以外の無駄な作業をするな、ということ。であるからこそ、そこから「創造的発展」はまず間違いなく期待できない。

 

一方、「新しい事業の種」は、今までに無いものを生み出すことももちろんあるけれど、とはいえその多くは「今までの個々のありものを、いかに組み合わせるか」が勝負。前者の、「今までに無いもの」を生み出すことは、それが価値を生み出すことにつながれば、それこそ革命的にすごいことであり、それで一生暮らせるようになるくらいの大きな転換になりえる…が、そんなことは何十年に一度レベルでしか起きなくて、もしくは地道にな基礎研究などの上に成り立つもので、生きているうちに一度出会うかどうかのしろもの。

となれば凡人の我々の周囲においては、いろんな組み合わせを探すことに。さらにその「組み合わせ方」のちょっとした違いによって、出来不出来が左右される場合もあり、理論もあり得るのだろうけれど、その多くが試行錯誤の連続にも。

 

この、「効率化」作業と「新規事業の種」を見つけることを「同一人物」にお願いすべきだろうか?出来るのだろうか?まったく職種の違う仕事であるのはだれの目にも明らか。だがそれをきちんと会社において、部署において、振り分けているだろうか?

それすらをすべての社員に「お前たちどちらもやれ」と言われたら、当然、どちらのアウトプットも求められていて、でも実質作業はどっちつかずになり…という社員が多い会社、あちこちにあるのではないだろうか?それ、「人材リソースを効率良く使えていないんじゃ無いですか?資本家さん?」と思うのですよ。(現場には効率良く!という割に、あなたの采配、効率良いですか?)

 

だから、「あなたはこちらのアウトプットを目指しなさい」ということを明示的に示してやること。もちろん、何かの拍子にもう一方のアイデアが浮かんだら、それは評価してあげるよ。しかしあなたの基本評価は「こちら側」です、という評価の指標を明示的にしてあげること。

 

ただしこうして社員の役割を振り分けた瞬間に、「効率化サイド」の社員は「新規事業の種」の社員のことを羨んだり、やっかみを持ったりすることも。なぜなら、「効率化」は完全比例とは言わないまでも、努力した分だけ効率は上げやすい。それに比して「新規事業」は、それこそ、何十、何百のアイデアが出たうえで、実際に当たるのは一つあるか無いか。これをもってして、「なんだ、結果を出さなくてもいいんなら、こんなに羨ましいことはない」と勘違いされることもしばしば。
だからこそ、「新規事業の種」側は、その指標を、アイデアの数やレポートの数という厳格なものにしたうえで、任期も短めに設定し、その間に成果が出なければそこから外していくことを明確にしていく必要がある、でしょ?