スタンス

表から見て見えるものと、表には表そうとしない本心と。それぞれ見えることもあれば見えない事もある。見せることもあれば見せない事もある。

ただ、仕組みとして、そうしたものをしっかり見せていかないと、そもそも排除される。努力する者、頑張る者、そして良いものを生み出していく者がもてはやされ、期待が価値を生み出す仕組みまである。たぶんその一つが株式市場。

 

ただここには最低限のルールがある。嘘をつかない、ずるいことをしない。社会が、経済がひっくり返る、混乱を起こすような企業は排出しなければ、そもそも混乱を生み、結果として皆を不幸に叩きこむ。だからこそ、厳格なルールの運用が必要になるし、それを破った際の罰則の適応も厳しいものになる。

 

あるベンチャー企業がある。応援している。微々たるものだけれど相談に乗る事もあった。本気でやりたいこと、それが多分人々の役に立つこと、今より良くなることだと信じて突き進んでいる、こういう会社は本当に応援したい。

 

でも最近こんな情報も聞いた。

そこは一部上場企業。だがいわゆるメーカーでCMを打つような企業ではなく、裏方を支えるような企業で、よほど企業研究などをしなければ見つからない企業もある。

そんな一部上場企業の管理職からの、こんな言葉、つぶやきを聞いた。

「いや、うちの企業は保守的だから。何か新しいことを生み出すのは極力避ける。自分自身を新たにしていくようなことには興味は「ない」。それよりも、いかに効率化するか、努力するか。今はそれだけだ。」

 

正直、自分がこの一部上場企業の株主だったなら、即刻この会社の株は売りたいと思った。一般向けに公開されているような情報、文書からは、そんな匂いは一つもさせていない。そう、それが表向きのスタンスであり、たぶん発言、つぶやきが本音の一部じゃないだろうかと勘繰る。

もしかすると、その企業の「トップ」は、改革だ、新しく変わっていくのだ!などと言ったスローガンを、社員全員に、もしくは株主に向けて掲げているかもしれない。それを認識できていない管理職、従おうとしない者の戯言を、たまたま聞いてしまったのかもしれない。

しかし企業と言うのは、時にそういうところから徐々に蝕まれていく。だからこそ高い理想や人間性などが、会社を引っ張る者にのしかかる。プレッ シャーもある。難しい決断もある。苦しい時もある。それらに耐えて皆を引っ張っていくからこそのポジションであり、それに見合った給与のはずだ。対価に対する給与であってほしい。

 

その上っ面のスタンスが崩れたとき、本音が垣間見えたとき、企業価値は崩壊する。