プロ野球。今更言うまでもなく同時にフィールドに出ることができる選手は9人。守備位置という枠がある。ルールが変わらない限り、同時にフィールドで守る選手の数は10人や11人に増えたりしない。

別に野球に限らない。サッカーだって同じだし、バスケットボールだって同じだ。一度にフィールドに出る人数が決まっているからこそのチームスポーツ。一方が15人で、相手チームが18人なんてのはあり得ない。

 

人数が決まっているということは、確保しておくべき優秀な選手にも枠があるということ。9人で1チームの場合、たとえばピッチャーなら先発、中継ぎ、抑えで3人必要だとかなんとかいろいろあるし、そもそもケガなどをはじめとする故障者が出ることを考えたとしても、9人の何倍かの人数の選手を抱えておけばいい話だ。

しかし実際には、お金を持つ球団は、有望な選手を集めようとする。優秀な選手を確保し、常に最高の状況を確保しようとする。これは裏を返せば、最高のポジションにいられなくなった選手は排除され、オサラバされることになるということだ。1チーム9人という枠が広がらない限り。

 

 

企業では、企業が成長するという。そもそもの事業が大きくなることで、当初は10人で回していた仕事が回らなくなり、15人20人30人と規模が拡大する。野球で言う1チーム9人という枠がないからいくらでも大きくしていける。

また、そうしてひとつの事業で大きくなれば、別の事業にも進出していい。音響関連事業をやっていた会社が、映像関連事業にも手を出し始めたりする。野球をやっていた球団が、バスケットボールにも手を出すみたいな話だ。野球選手だったけれど、野球選手としての選手生命は終わったけれど、ふとバスケットに転向してみると、異常に高いシュート率をたたき出して転向…なんてのは現実にはありえない話だけれど。

しかし事業では起きがちだ。いや、そうしていくことこそが会社を大きくしたりするとか、業態を広げていくという話であり、株主が株価を上げてくれると期待している事であったりする。チーム人数枠を拡大し、複数のチームを、ゲームを運営していけるからこそその会社に投資する。であるからこそ、その中において人は一つのゲームでヒーローに成れなくても、べつのゲームで輝くチャンスがある。

 

それが、会社が大きくなれない、扱うゲームを縮小し始めるということは、そもそも選手として活躍する場がどんどんと失われているということ。弱小チームに成り果てようとしているということだ。

会社、事業において、チームスポーツのような人数枠はない。それを大きくできる会社、大きくしている会社なら、人はどんどん必要になる。そこが小さくなるということは、厳しい競争枠、厳しい生き残りの中に取り残されているということ。

 

4番バッターはそうたくさんは必要ない。キャッチャーもそんなにたくさんいらない。でも他の、外のチームなら、キャッチャー枠はいくつか空いているいるかもしれない。世間は広い。今のチーム内Bクラス、もしくはCクラスで、年に数度の試合に出られるキャッチャーと、別のチームのAクラス、常に試合に出続けられるキャッチャーと、どちらが多くの経験を積めるか、どちらがキャッチャーとしてのカンを保ち続けられるか。

 

それは、自らの生き方の選択なのかもしれないのかな。