不気味なDM

自宅の近所において買い物をする。普通の事だ。コンビニで、スーパーで、食材やおやつ、衣類や日用品などを買う。場合によっては会員登録をしたりして、その見返りに、数%還元されたりもする。

そして時には、店側も売り上げを上げたい時期にはDMを出して来たりする。最近は郵便局側が、ある地域に絞って広告配布なんていう裏方を担っていたりするので、個別の個人情報を店側が知らずとも送ることが可能になっている。


とはいえ、一時期の事を思えばダイレクトメッセージ、いわゆるDMというのは減ったような気がしていた。それに比して(うちの地域だけなのかもしれないけれど)、投げ込み広告、チラシが多いように思っていた。別に数値的な裏付けデータを取ったわけではない。感覚だけなのだが。

 

ところが先日、不思議なDMが来た。
それは近所のある店からの、割引サービスのDM。
その店には、ユーザー登録するために電話番号と名前(苗字)を登録することになっている。
うちはそもそも、はじめから電話帳に名前など掲載していない。が、そのお店の都合もあるだろう、店を利用するために電話番号と名前を登録されている。
以前は、かなり期間をあけて再利用しようとした際に、
「登録が消えているようですね。久しぶりのご利用ですか?」
などと聞き返され、再登録したことがあるので、どうやらある一定期間利用がなければ、情報を消去するという処理を行っているようにも見える。

 

話を元に戻そう。そのDMには、次のようなことが書かれていた。
「○○××さん、お誕生月につき、○円割引サービス」
まぁありがちなサービスだ。が、冷静によく考えてみたい。

そもそもフルネームは伝えていない。しかしそれでも正しい名前を記載して送ってきている。住所まで特定されている。
店に登録する際には、繰り返しとなるが、電話番号と苗字しか伝えていない。住所すら言っていない。しかし送られてきたのは、フルネームと、誕生日月(多分誕生日までも)そして住所が分かって送ってきた。ユーザーサービス、顧客満足、リピート率を上げようという一心で…。

どこから調べたのか、何から情報を取っているのか、どの情報とどの情報を組み合わせたデータベースを持っているのか、考えれば考えるほどそら恐ろしいと思うのは私だけだろうか?ほとんどは、あぁ便利なサービスだと思っているんだろうか?


一方で、小学校などの連絡網が「プライバシー保護」の名の下に、すべてを共有できず、不便を強いられていたりする。メールアドレスの交感や公開も、学校主催で進めること自体、学校がリスクを取りたがらないこともあり、そもそもコミュニケーションが“とりにくい”方向へと進んでいたりする。
世間では、プライバシー“意識”ばかりが進み、ちょっとした情報開示にもピリピリすることで、無駄な手順が増えたり、本来サービスで行えるようなことがどんどんと制限を受けようとしていたりする。
そんな中において、実は企業の中には、膨大なデータベースが築かれており、プライバシーの塊ともいうべき情報が「ビッグデータ」の名の下に日々更新されていたりする。
○○を購入した人には、次にはこれをお勧めすると購買確率がぐんと上がるなどということが、まことしやかに行われている。個人の嗜好、行動形態、購買傾向が数値化され、むきだしにされているにもかかわらず、それが「その個人には見えないところで使われている可能性が非常に高まっている」。


自分たちは自分たちで、はっきりと見えるがゆえに仲間内での不便さに不満を募らせていたりする。しかし他方で、見えないどこかでは見えないだけで、実は情報的に丸裸にされていたりすることに、全くの無頓着でいる。
そして、知らないことこそが、安心だとして、勘違いしていたりもする。