「あったあった」の時代
いまからもう20年近く前じゃないだろうか。懐かしのあの番組特集、などという形で、テレビ番組の特集を組むことが多かった時期がった。当時の20代、30代が子供だった頃の番組のフィルムを掘り出してきて、主題歌や、名シーン、名台詞をちりばめるだけで、一つの番組が成立した。いわばコンテンツ再利用番組。
「そうそう、これこれ!」
「あったあった、懐かしいなぁ」
それを見ることで、当時は二度とみることができないと思っていた懐かしいあの番組、あの主題歌を聞くことができ、そこそこに視聴率を稼ぐことができたんだろう。
しかし、今はそんな番組は、あまり流行らないんじゃないだろうか。なぜなら、そうした過去の番組を見たいなら、聞きたいなら、テレビ番組を待つことなく、Youtubeをはじめとするネットコンテンツに、とりあえず検索をかけてみるのが基本。すると、結構な確率で見つかったりするからだ。
言ってみれば、以前なら局だけが持っていたコンテンツを再編集することで、価値の再生産を簡便に行っていたところが、今はそうはいかなくなったということ。
ただし、とはいっても、まだ再編集には余力が残されているように思う。なぜなら、以前作っていた番組の編集レベルは、あまり凝ったつくりをしていたとは思えない。むしろ今だからこそ、そうしたコンテンツを高いレベルで再編集することで、実は今まで気づかなかったさまざまなことを見出せるチャンスが潜んでいるような、そんな気がしてならない。
今だからこそ、編集力を駆使することで、実は新しい価値を生み出せるんじゃないか?編集力、独自の視点でどのようにまとめるか?そうした力が試されているんじゃないか?
そしてそれを生み出すための「道具」は、今、かなりのレベルで整備されている気がする。
あとは発現者を待つのみかも。