優しさの向こう側

普段から物腰の柔らかい人がいる。優しい話しっぷり。たいていの事をしても、決して怒らない。優しい人。

こういう人にはこういう言葉が付いて回ったりする。
「○○さんが本当に怒った時は、そりゃもうとっても怖いからね、気をつけな。」

 

優しい人、怒らない人、それにはたぶん二種類。
一つは、あなたの事を別に特別なんだと思っていない人。もっとありていに言えば、どうでもいいのだ、あなたの事なんて。間違えようが、失敗しようが、責任を負うつもりもない。成功すればニッコリ、失敗すればちょっと心配顔でも優しい笑顔でニッコリ、次は頑張ろうね。これは毒にも薬にもならない笑顔。今、摩擦が起きる事、もめごとになることが面倒だ。


本当に優しい人、あなたの事を考えてくれている人は、あなたが間違った方向に進む事を恐れる。間違った道に入る事を恐れる。そちらの道に入り込みそうになったら身体を張って止め、間違った選択をしそうになったら、全力で反対する。たとえそれをさえぎるために大きなエネルギーが必要であったとしても、間違っている方向に誘ってはいけない、今この時に衝突してでも、やりあってでも怒り、間違いを理解してもらいたい。

 

見かけの優しさを作るのは案外簡単だし時間がかからない。なにせ、考える必要がないのだから。
見かけの優しさを見破るのは、とっても難しい。考えに考えて抜かなければ、良い行動につながらないのだから。