焼畑農業

たしか小学校あたりの社会科で学んだのが「焼畑農業」。ある一面を焼き払うことにより、焼かれて隅になったことで雑草などが死滅し、またそれによって燃やされた草花が肥料の代わりとなり、そうして焼かれた広場が耕作可能な農地と変わるという事。

ではあるけれど、逆に言えばそれは「土を育てている」わけではなく、上に出ていたところを焼き切って使っているため、それほど繰り返し使える土地にはならず。なので次の耕作時期には、次の燃やせる場所を探して移動していくことに。こうして焼かれた台地が広がり続け、やがて焼き切る土地がなくなると、そこで終わってしまうという事に。発展途上国あたりで多い手法。

 

それに対して日本の多くの土地は、耕し、土を作って、何年も耕作可能になるよい土壌作りから始まっているところが多数。そんな土地で作られた農作物は、確かにおいしいし、素晴らしい成果が実るのは言わずもがな。なので農業で生業を立てている人は、「土作りですよ」という人も。

 

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ところで、昨今の企業、中小もあるけれど特に大企業。本当に人を育てるつもりがあるのだろうか?とここ何年も思っているのだけれどどうなのだろうか?

正社員をどんどんと切り捨て、派遣、有期雇用に切り替えて、固定費を削減し、人を育てないことでコストダウンを図っていく。であるがゆえに昔に比べて中途採用枠が非常に大きくなってきているのが見て取れる。
だが、「中途採用」の意味するところは、「即戦力」であり、「うちで育てなかったけれど、外で育った才能を、我が社のために使って結果を出してね」という、おいしいとこ取りに他ならない。いわば、市井に広がる価値を掬い取り、自社のために使って、使えなくなったら切り捨てる。まさに、人材の焼畑農業状況になっていませんか?

 

もうたぶん、ほとんどの人々が、日本における終身雇用など信じていない。ということはいつでも捨てられる、外に出られることをイメージして働かざるを得なければならない状況。これにより、その企業における忠誠心は下がり、結果的に「本当に自社にずっと居残ってほしい人」がいた場合には、それなりの見返り(たいていはかなり高額な部類の給与になるだろう)が高止まる方向に動くことになるはずで。

 

特にこれからは、どう考えても人が足りなくなる。となれば、才能ある人物は引っ張りだこだ。他方で、人工知能や自動化はどんどんと進み、単純作業部分は人手が必要なくなるだろう。人を育てることを企業は諦め、それを個人に委ねる。個人でいかに早くこれに気づき切り替えられるのか?いや、もう今の若者世代は開き直ってそれが当たり前か。

30年前のバブルの時代に今のこの状況が想像できていなかったと同様に、今の時点で今から30年後の2048年は想像を絶した状況になっているだろう。焼畑で一面焦土になっていなければよいのだが。