偽りの安定

あなたのチームは安定しているだろうか?安定しているし、ぶつかり合いはない、けれどメンバー同士で何か遠慮しあっているような状態になっていたりはしないだろうか?

 

一人で事を成すには大きくても、何人かの仲間を集めてチームに成ることで、成し遂げられることは少なくない。

だが人が集まればどんな人の集まりでもチームに成れるか?というと、そうでないことは皆さん経験済みだろう。そんなチームの形成過程を研究した結果がある。

 

タックマンモデルと呼ばれている。

チーム形成には、4段階(5段階)あり、Forming、Storming、Norming、Performing(、Adjourning)があるという、それぞれ、形成、混乱、安定、機能(、散会)などと呼ばれていたりする。

 

まず最初のFormingは、集められた直後の状態。みな、仲間の顔を初めて見合わせて、どんな奴だ?何を考えているのだ?とハラの探り合いが始まり、ベクトルは全くあっていない。

 

それを経て次はStorming。嵐の状態だ。目的などが提示されて皆でその方向へ向かう話し合いがなされるも、「いやこのやり方の方がいい、俺は前にこれでうまくやってきた」とか「それで俺は失敗したんだ、こっちのやり方でやるべきだ」などと意見が衝突する。そしてこの「衝突することこそが大切だ」と説いているのがこのタックマンモデルの重要な部分。

特に日本人は、このようなちょっとした衝突、軋轢さえも避けようとしたりする。結果、見た目は安定している組織、チームでも、腹を割って話し合えない、いつまでも信頼しきれない間柄の組織があったりしないだろうか?

それに比べて、自分が思うこと、自分の意見を、たとえ衝突してもぶつけ合うことができる。その上で相手がどう考えているのか、自分がどう考えるのかといったことと真摯に対峙してこそ、昇華された次の考えへと結びつく。相手の得意なところ、相手の不得意なところも見えてくる。得意なところは任せればいいし、不得意なところは自分がカバーすればいい。

このStormingを早く乗り越えることこそが、チーム形成のカギ。リーダーはそれだけに集中してもいいくらいだ。

 

これを乗り越えると互いに信頼した安定期、Normingにはいり、やがて最高の成果を上げることができるチーム、Performingへと移行する。

 

最初から小さな混乱を恐れて嵐の時期すら避け続けることで、疑心暗鬼、信頼しきれない仲間で構成されたチームを作り出す。

一人でもこういうメンバーがいることで、チームの動きは悪くなり、雰囲気に影響を及ぼすこともある。

 

…と、こんな堅苦しい理論を学ばずとも、日本には優れた教科書が山ほどある。マンガやドラマ、特撮、アニメなど、この要素がふんだんに盛り込まれているモノがたくさん。30年以上にわたって続く戦隊シリーズなんてのは、もうこのパターンをそのままドラマにしたものと言ってもいい。マンガ、アニメ、特撮だって、とても大切なメッセージはたくさん入ってる。

 

チーム。それは大きなことを成し遂げるための船。

一人では渡り切れないようなところでも、クルー全員で協力すれば、どんな波でも超えていく。