画一化された

モノを作っている人からすると、全く同じつくり、まったくおなじ性質、品質でできているからこそ、その寿命や交換時期が分かる。でもそうしたことができるのは、大量生産されている商品であるからこそであり、個々の品質差がまずないというのが大前提。個別の生き物においては、それは通常は無理な話だ。

 

ところが、それをかなり正確に予測しているものがある。この時期に出る“あれ”、桜の開花宣言だ。どこどこで3月○日に開花した桜前線は、この後順調に北上し、関東では4月の○日頃が開花予想日となっています。

 

日差しの具合などで若干のずれはあるものの、基本的にはほとんどずれることなく、桜の開花予想が当たる。そして他の樹木において、こんな予想は(私の知る限り)行っていない。これはなぜか?

それは、桜の開花宣言、より正確に言うと、ソメイヨシノ開花宣言と言うのは、品質的に「同じ」だから。

 

日本にあるソメイヨシノと言う桜の木は、クローンだそうだ。海外にまで輸出?されているものについてまでもがそうなのかもしれない。遺伝子レベルにおいて全く同じ「木」であるからこそ、全く同じように振る舞う。若干地域によって開花時期が違うのは、それは積算される温度に差があるから、いわゆる地域差がそのまま開花の時期につながっているだけだろう。

いわば、みんな同じ「綾波レイ」、古くは「マモー」と言ってもいいかもしれない。全く同じだからこそ、ほぼ正確にその振る舞いが予想される。

 

 

…ということはだ。もしも「ソメイヨシノ」に対する壊滅的打撃を与えるような病気や害虫が発生した瞬間に、日本の大半の桜(ソメイヨシノ)は、大打撃を受けるということになる。他にも桜の種類はあるので大丈夫さ!と強がるか、それはやばいと考えるのか。

 

でも、効率化とか、もっともいいモノだけを、と言う社会は、常にそういうリスクもはらんでいる。それを単に「効率化」という側面でのみ判断基準を持った瞬間に、万が一の際には、壊滅的な被害をこうむることもあり得る。

 

花だけじゃないはずなんだよ。