生活スタイルを変えさせるほどの

1年ぶりのお誘いをいただき、気の置けない友人たちと休日の昼食とおしゃべりを楽しんだ。みなさん、いろいろと人生の中での変化や悩みがあるようだけれど、とりあえず元気に暮らしているのは何より。

そんな中で出た話題でひとつ驚いたのが、あまりのルンバの普及率だった。
その食事に来ていた人だけでなく、その関係者、さらに言えば私の他の友人においても、ルンバユーザーが何と多い事か。
言うまでもない、ルンバと言うのはお掃除ロボットのあのルンバである。部屋の中を走り回って、細かなゴミや塵を掃除しておいてくれる。

「最近掃除の仕方が変わってきました。とりあえず棚のゴミを、さっと床に落とすんです、モップで。であとはよろしくって感じなんです。」
掃除の仕方すら変わり始めている。さらに、
「○○さんの家庭では、朝、出がけに、食卓の椅子を全部上げてから出るらしいよ。たしかに、そうだよねー。」
なんて話題に。また、
「最近は、家具を買うのにもチェック項目があってね、ルンバがその下にもぐりこめるか(笑)。10cmくらい間が開いてる必要があるのよ。」

なにより、このロボットの導入によって、“家庭の床に、極力物を置かなくなった”という。ルンバのためにまわりが気を使うことにより、生活スタイルに影響を与えているのだ。

究極は知人のリフォーム。
「ルンバを入れるために、すべて段差を極力避けて設計したの。便利よー」


家電は、主婦の家事労働をいかに軽減するかというあたりから工夫され、市場が拡大した。が、ルンバ以前では、掃除機としての効率、たとえば吸引力だとか、本体の軽さというところまでしか発想が届いていなかった。
しかしルンバはそれを超えた。そしてそれによって、そもそもの生活スタイルに、ジワリと影響を与え始めている。
エンジニアにはもちろんそうした「機能」を開発する力はどこにでもあったはずだ。だがそうした「ニーズ」を訴えるだけの力は、それ以前にはなかった。そういう例は枚挙にいとまがない。

とすると、たとえば洗濯機だって、いくつか洗濯物を放り込んでおけば、予約などしなくても、ある閾値(洗い物の量)を超えたら、勝手に洗って、勝手に乾燥機にかけてくれるくらいのところまで行ってもいいのかもしれないのに。

…と、ランチで談笑をしながら、そんなことを考えていた。