お店って難しい

ネット通販が非常に伸びている現状において、実店舗などで、「長らくご愛顧いただきありがとうございました。〇月〇日で、閉店いたします」なんて張り紙が出ることがある。

 

こうした張り紙をもってして、たくさんの人々が、「あぁ、もっとやってほしかった」とか「長い間ご苦労様」といった声を上げたりするわけで。で、そうした隠れた人気があった店舗に、「最後にもう一度」という事で「閉めることが決まったところ」から人がわんさと訪れたりする。

もちろん、様々な「閉店理由」があるわけで、店主の高齢化なんてこともあるのは事実。だがそれのみならず、表立っては言わないまでも「儲けが出なくて」という事も少なからずあるわけだ。

儲からない、すなわち人々がそこを使わなかった、そこに行かなかったから、ということが閉店理由になっているのに、「えぇ、終わっちゃうの」と閉まることが分かったところで押しかける、上記のようなことに。いや、「今まで頻繁にあなたが来なかった」から終わるのに、最後に名残惜しみに来るとはなんだと。

 

とは言え、これは違う見方もできるかもしれない。本当にそんなに人気が高いのなら、「単価を上げてもよかった」のかもしれない。そうすれば、儲けが出ないからやめる…という問題からは、脱却できた可能性がある。
だがこれはその裏の側面もあぶりだしている。それは「そんなに単価が高くなかった、という事は、提供される価値に対して安い、コストパフォーマンスが高い」という事。であるにもかかわらず、儲けが出なかったのは、それは商材という影響があるだろうという事。たとえば「高級フレンチ」のように、毎日食べるものではない、が、ここぞという時には食べたい。そんなときの値付けをどこに置くか。そう、来店頻度と客単価の相関関係をどうとるかのバランスに起因するという事。

 

となると、その商材とその単価に対して、顧客側もそれに絶えられる頻度で訪問するからこそのバランス。だがそれも「母集団としてのファンたる顧客の数」にも影響される。

となれば、「a) 来店頻度」「b) ファンも含めた顧客母集団規模」「c) 1回の客単価」の掛け算で回り続けることが維持できるだけの売り上げがたつか。

b)は、最初からファンがいるとは限らないので、母集団を育てるために来店客数が多い繁華街に出店したがるのも無理はない…が、予想以上に来店客数が多いなら、少し人通りの少ないところに引っ込みたくもなる。そう、「店を構えている」ということは、「リアル店舗をそうそう移動、引っ越しできない」ところで、変数の一つを動かせないところが商売のむつかしさ。

まぁ現在であれば、いきなり「店舗を構える商売」という固定費、サンクコストが大きめのビジネスを動かすよりも、ネットを通じて、小さく成功を踏んでいく…というのが定番かな。

当たり前の結論ではあるけれど。ま、理論通りには行かないけれど、理屈を全く考えないと効率は劇落ちだろうな。