代わりはすぐには見つからないよ

現状の日本で明らかに足りなくなり始めているのは、働く工数だろう。もっと言えば、効率よく働いてくれる「働き手」だ。それを頭に入れて置いたうえで…。

 

ひところよりは下火になっている感もあるけれど、それでもずっとあり続ける企業、それがブラック企業。残業代が付かないとか、異常な仕事量だとか、無理を承知でノルマを設定する等々、やり方はいろいろあるだろう。

部外者からして普通に考えると「なんでそんな無理なきつい職場で、じっとしているの?やめればいいのに?」と考えがちだ。が、現実のその状況にはめ込まれた人からすると、たぶん間違いなく「辞められない」のだと思う。そこには様々な理由がありそうだ。

 

そもそも、いろいろと職を探してやっと得た「この仕事」なだけに、これを逃がしてしまうと、またあのつらい職探しの日々が始まる。それに比べれば…という人。人それぞれなので何とも言えないのだが、体に気をつけて、無理せず頑張ってください…というのが正直なところだ。

質の悪い組織だと「今やめるなら、その責任を金で払ってから…」などと脅してくるところもある。名実ともにブラック企業だ。真に債務をかぶらなければいけない状況がなくはないだろうけれど、そもそもそこまでしてきつい仕事で入っている人に、そこまでの責任がない事がほとんど。となると、そうした知識不足、常識不足こそが「とどまらざるを得ない理由」に。無知は無知であり続ける限り搾り取られるほうに。だからこそ様々なことは学んでおきたい。

昔ほどではないが、そもそもブラック意識すら全くなく、頑張れ、頑張れと現場を鼓舞するだけの組織もある。大して意味がない社会的意味、意義を信じ込まされている人もいる。真の価値を見つめなおしてみてはと言いたくなる。

 

と、暗い話を書いてきたけれど、良し悪しは別にして、昨今の若い働き手の人たちは、自分のイメージと違ったり、働き方に違和感を感じると、案外簡単に辞めていく。いや、私はそれでいいのだと思っている。実際、そうしてやめたところで、働き口はいろいろあるものだ。中年世代においてさえ、ひところは「35歳転職限界説」なんてものがまことしやかに言われていたけれど、まったくそんなことはない。
違う言い方をすれば、すぐやめる人であればあるほど(良い観点としては)自分がどんな仕事をしたいのか、どんな働き方をしたいのかのイメージを持っているという事。考えているという事。

 

最後に書いておきたいのは、そろそろ経営サイドは考え直すべきではないかという事。もう人手不足は明らかに始まっている。その人に辞められたら、次の代わりの人は、スキルも人柄も含めてそうそう簡単には見つからない。となると、辞められないようにするためにはどうすべきか、そのための行動をとるべきじゃないですか?いや、近々困るかも知れないのはあなたでしょ?使い捨てる時代ですか、人も?