アイデアの泉

過去のテレビ局は、深夜帯がそうだった。怪しげな番組、不可解な番組、破廉恥な番組。ひどい番組も少なくなかったけれど、予算はないからアイデア一発勝負。アイデアさえよければそれなりに評価もされていた。
ノイタミナ枠」という深夜のアニメ枠がまさに、アニメにとってのそういう場所だろう。ここではゴールデンタイムにはすぐにかけられないけれど、ちょっとパンチが効いたことができる実験場。これで世間の反応をうまくとらえて、あわよくば…だ。

 

NHKはある意味、ずっとそれを実践しているとも考えられる。民法の深夜枠にあてはまる機能を、Eテレになっているだろう。もちろん、教育のためのチャンネルなのだというのが第一義ではあると思うのだが、チャレンジングな番組がいつもチラチラと目に留まる。詳しい内情は知らないけれど、視聴率をある意味無視して、実験的番組制作をできる場があるからこそ、その実験結果から面白さを見つけ出し、そのほかの番組にフィードバックがかかるということ。

 

すでに自主規制がかなりキツくなっている現在の「テレビ局」におけるそうした深夜枠、アイデアの泉は「Web放送局」という位置づけなのだろうか?頑張っている局もあるのだろうと思うけれど、すべてがそうじゃないということは否めない。視聴率も下がり、広告収入も下がりつつある厳しい状況だとは思うけれど、いかに自分の中にそんな「アイデアの泉」を保ち続けるか。

これはテレビ局に限らず、企業も、組織も、個人もそうだろう。

 

でも企業は企業で、コストパフォーマンスを上げるために、そうした異端児を生み出す場所、組織を絞り上げ、削り続けている。もちろんそれで「目先の利益」は上がるのだろうが、通常はそれにより、長期的には低迷することは否めない。

個人は個人で、そうした企業の「効率化」の流れに押され、ぎりぎりまで力を搾り取られている状況。つらい状況は私も身をもって感じているのでよくわかる。が、それでもやっぱり、自分の時間、アイデアの泉、何かやりたいかもしれない事を持ち続けること。疲れ果てて大変だけれど、それでも自分の時間をつくる事。たぶんそうして得られた時間での活動それこそが自身のアイデンティティにもなり、それが生きる力につながるはずなのだから。