信頼の揺らぎ

数学で扱われる内容で「ゲーム理論」というものがある。

その中での戦略の一つで、基本は相手を信じる。だが、一度相手から騙されたなら、やられたならやり返せ、という戦略の取り方がある。実際これが基本的かつ最も負けにくい戦略だということが、シミュレーションからも見えてきている。

 

昨今の国同士の外交においても、企業同士の協業などにおいても、個人間での信頼関係でも、さらに、個人と企業との間の信頼関係においても、これで対処され始めている気がしている。

 

昔の日本企業…というか、いわゆる「温情を感じる、この企業にはしっかりと働き続けていたい」という企業にあったことは、個々人の状況などを勘案した対応をしてくれていたこと。それぞれの個人、それを支える家庭環境にはさまざまな事情があり、それを組んでシフトを組んでくれたり、勤務時間に配慮があると、あぁ有難いと感じるわけだ。

 であるからこそ、明確な出納帳があるわけではないけれど、この前の借りを返すか、とちょっと頑張って働いたりもする。ちょっと大目に見てやることも出てくる。

 

だが昨今、企業サイドにおいてそのようなことをする余裕すらなくし始めており、法で制定されているギリギリまで社員に迫る企業も、当たり前のようにある。もっとひどいところでは、企業オーナーが「うちはその法律は採用していないのですが…」などと平気でうそぶく者もいる始末。おぃ!どこの国で会社を興しているのかと!

 

社員は社員で、給与をギリギリまで抑えられているのだから、社員としての権利として認められている有休などの権利は、ギリギリまで使い倒そうとせめぎ合う。これまでなら「捨てていた」有給休暇も、最後の最後まできちんと使い切ったり。
そうされることで、企業サイドは、今までよりもギリギリと締め上げなければ効率が上がらなくなり始めている現場もあり、社員によりきつく当たる羽目に。

 

ある意味、互いに思いやれる余裕がなくなり、せめぎ合う事で生きるしかない状況に。これは正直生きにくさを感じてしまっても仕方がないだろう。

だが、だからと言って、相手がギリギリまで攻めてきたのを看過するとどうなるか?逆に相手に付け込まれ、どんどんと懐深く入られて窮地に立つことに。

たぶんこれが、現状の国と国、韓国と日本の関係ではないだろうかと。相手がギリギリまでくるのなら、こちらもギリギリまでやらなければならない時もあるのではないだろうか?

 

どちらも、信頼関係は明らかに崩壊する一途になりそうなのだが。