最終日

仕事柄、タクシーを使う場面も月に何度かある。

 

ある日のこと、とある駅からある場所までタクシーに乗った時、こんな運転手さんに出会った。今日でタクシーの運転手を辞めるのだ、と言う。

確かに見た目ではあるものの、年齢は高そうだ。聞くと、すでにどこかの企業は退職したのだが、さらにこうして運転手をしてきたが、さすがに体もきつくなり始めたので、明日からは年金暮らしに入るのだ、という。

 

関東圏はまだしも、地方都市などでタクシーを使おうとして感じるのは、運転手の年齢の高さだったりする。そもそも運転手の成り手が激減しているらしい。(であるため、地方でタクシーを呼ぼうにも、場所に寄るのだろうけれど、配車が足りない地方もあったりする。)

 

そんな最後の日に巡り合い、他愛のない会話で時間をつぶしながら目的地へ。何千円かの料金を払って車を降りる。

お年寄りが、自分の意志で、働く最後を決め、余生に踏み出せる社会。自分の体と、自分の健康に応じて、生きていける社会。これからもこんな社会を維持していけるのだろうか。自分の仕事の最終日はいつどんな形でやってくるのか?まだ想像できていない。

年金に関するニュースが話題になる毎日。不安ばかりが煽り立てられる国。