中にいる者には全体が

何かが変わりつつあったり、大きな変化が起きているとき、それは、その中にいると何かわけがわからずに大混乱をしているだけだったりもする事が多い。が、俯瞰的に見ている人にはそれが見えていて、そして、結果的に、時間がある程度たった後で、全体を見直すことができたとき、あぁあの時は全体としてそのような流れになっていたんだ…という事がわかることがある。

 

歴史的転換点などがまさにそれであり、その一例としてここ30年での大きな変革の一つは、やはりベルリンの壁崩壊という歴史的事実を上げないわけにはいかないだろう。

 

ただ昨今はというと、インターネットの発展によって、多くの人々が、多くの情報にアクセスできる環境が劇的に発達した。であるからこそ、そうした事態にあったとしても、その変化を俯瞰的に、ネットの向こうの視点からとらえることも可能となってきている。

 

ミクロな、自分の周りで起きている事と、マクロな、国や地域を巻き込んで起きている事と。経済や政治などなどが複雑に絡み合っている中で、それらがお互いに影響し合いながら変化している。どれか一つだけをとらえて「これは良い」とか「悪い」という事ももちろんできる。だけれど、それだけではあまり意味がなく、「全体の中においてのこの問題」として捉え、相対的な位置づけとして解決しない限り、個別撃破しているだけでは、まったくラチがあかなくなってきている。

 

分かるだけの自分周りのみ、ミクロの視点…だけでとらえていると、物事の方向性が、ブンブンと左右に揺さぶられがちだ。逆にマクロにとらえているだけでは、総論としての「当たり障りのない事」ばかりを並べ立てるだけになりがちで、結果的に、個々の利害は全く進展しない事にもなりかねない。

 

個別の利害を調整し、全体を全体の利得が上がるような高い方向へと進めていく。いうのは簡単だがやってみると、それはそれは面倒くさい、多数のステークホルダーの利害の聞き取りと調整が必要になるという事に。
ま、それが政治であり、別に政治以外の仕事の殆どなのだけれど。