変わる仕事、変わらない仕事

老舗の和菓子屋の仕事は、当たり前だが、ずっと和菓子を作り続けるという仕事。これ、まったく変わらないことを何十年…と引き継いでいるように感じる方もいらっしゃるかもしれないが、実はそうではないという事。
いまだにずっと昔からの伝統を守り続け、同じ味を守り続けて「見た目」や「味」を保ち続けるためには、自らが時代に応じた、たゆまぬ努力、たゆまぬ変化をしてこそ、「一見まったく同じ状況」にみえるアウトプットをたたき出し続けられるという事。時代の変化と同じように変化し続けているからこそ、時代の中での相対的位置付けが変わらず居られるという事。

社会も、経済も、ずっと変化し続けている。走り続けている。それらと「同じ速度で」自分たちも変わり続けるからこそ、「相対速度としてゼロ」すなわち変わらないものを紡ぎだせるという事。

 

だがこの変わらない何かを紡ぎだし続けるための「変化のベクトル」を間違えてとらえ始めた瞬間に、その仕事やビジネスが、破綻への道を歩みだすことがある。私が思うその典型例が、「安売り」だ。

 

アウトプットを紡ぎだすやり方に変化をおこせないのなら、相対価値は下げざるを得ないかもしれない。だとすると、いままでひとつ1000円で売っていたものを、950円や、920円といった安売りにしなければならない。当然、原材料費も上がってきたりする。ということで切り詰めるべきは、より安価な材料を使って品質を落としたり、人件費を下げに来たり、昨今流行りの「仕事の効率化」ということになる。

 

しかし考えてみれば一目瞭然だが、「仕事の効率化」は、無限に効率化できるのだろうか?もしそれが可能なら、やがてその仕事は、価格ゼロ、時間ゼロでできるものになり変わらざるを得ない形になる。…が、それは不可能。とすると、単なる効率化、安売り方向では、当然限界があるはずなのだ。

しかし、意外なほどに無能な経営陣は少なくない。頑張りだけで何とかなると思っているものがまだまだ存在しているように感じている。

 

だから、効率化以外の方向として、付加価値創造の方向でも変えていかないと。新しい価値を生み出すことを考え続けないと。
夏の残りは、そんなことのアイデアを紡ぎだしてみたい。